第1回 日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞!

 

航空機による大気観測プロジェクト「CONTRAIL」

日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」を受賞しました。

当社が参画する 航空機による大気観測プロジェクト「CONTRAIL」は、第1回日本オープンイノベーション大賞(主催:内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、 経済産業省、国土交通省、環境省、一般社団法人日本経済団体連合会、日本学術会議)において、環境大臣賞を受賞いたしました。

日本イノベーション大賞は、内閣府が進める総合科学技術・イノベーションの政策により、オープンイノベーションのロールモデルとなる先導的・独創的な取組を表彰し、日本のイノベーション創出を加速するために設立された表彰制度です。

今回は内閣総理大臣賞をはじめ、12の賞が14の取組み・プロジェクトに授与されました。

そのなかで「CONTRAIL」は、これまでにない観測方法を官民協力で実施し、開発段階からこれまで関わりのなかった機関が連携し、旅客機の定期便を使用することで定常的・世界的な観測を世界で初めて実現したものです。 こうした取り組みが、パリ協定、SDGs、地球環境の研究に大きく貢献したとして、環境大臣賞を頂きました。

「CONTRAIL」の大気観測によって得られたデーターは、地球の気候変動メカニズムの解析を目的に、世界中の研究者に広く公開・利用されています。

当社は観測機器の開発製造を担っており、今後も当プロジェクトへの参画を通じて地球環境保全に微力ながら貢献してまいります。

CONTRAILプロジェクトとは

地球温暖化をもたらす大気変動のメカニズムを解明するため、産学官が連携する大気観測プロジェクトCONTRAIL(注)。

当社は、2003年よりプロジェクトに加わり、自動大気サンプリング装置(ASE)と二酸化炭素濃度連続測定装置(CME)という2つの装置を開発し、航空機に搭載するために必要な国土交通省航空局やFAA(米国連邦航空局)のSTC(追加型式証明)の認証を取得してきました。STCの取得により、これらの観測装置は日本航空株式会社が定期旅客便で運航するボーイング777-200ERや777-300ERに取り付けられ、地球規模で大気の観測データを採取しています。又、その解析結果は地球温暖化に関する研究のための貴重なデータとして国立研究開発法人国立環境研究所から世界中に配信され、活用されています。

 

注:CONTRAILとはComprehensive Observation Network For TRace gases by AIrLinerの略で、この名称は2007年より使用しています。

大気中の温室効果ガスを立体的に観測

地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの広範囲な観測を目的とした「CONTRAILプロジェクト」。大気中のどこにどのような濃度で、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが分布しているかを精密に観測するためには、地上からだけではなく、航空機を利用して三次元的に観測することがとても重要です。プロジェクト開始以前は、シベリア上空など一部の地域においてチャーター航空機を用いた観測が実施されていましたが、毎日世界の空を飛んでいる民間航空機で観測できれば、より頻繁に、精密なデータを収集することができます。又、地球規模で世界各地の観測ができること、地表から上空まで高さの違いなど、空間的に詳細な温室効果ガスの分布を調べることができることなど、画期的なメリットがあります。

航空業界のプロフェッショナルとしてプロジェクトの継続を⽀える

地球温暖化研究のための大気観測は、1993年より、気象研究所、日本航空、日航財団(現在のJAL財団)がオーストラリア-成田間の航路で、ボーイング747-200型機にタイマーで大気を収集するフラスコサンプリング装置を搭載して、観測を実施してきました。しかし、搭載機の退役に伴い、2002年頃、新しい大気観測装置を搭載することが検討されていました。

そして2003年には、国立環境研究所、気象研究所、東北大学、宇宙航空研究開発機構、日本航空インターナショナル(現在の日本航空)、日航財団、当社をメンバーとする産学官連携の新たな共同研究プロジェクトが発足。当社はASE(自動大気サンプリング装置)、CME(二酸化炭素連続測定装置)の2種類の新しい大気観測装置を開発すること、及び装置を航空機に搭載するための当局承認を取得することを担当しました。これらの新しい装置による観測活動は、2005年から「CONTRAILプロジェクト」(プロジェクト名称の使用は2007年から)として現在に至っています。

航空業界のプロフェッショナルとして大気観測の継続を支えていくことが、このプロジェクトにおける当社の使命です。観測が始まって以来、装置を搭載していた航空機の退役や航路変更により、新たな航空機に搭載するための改修や、観測装置の機能を向上させる改修などを当社が実施してきました。観測開始から10年以上を経て、今後の10年も継続して観測ができるよう、入手が困難な内部部品に対し代替部品の使用を可能にするための改修をはじめ、新たな観測装置の開発や新たな機体への搭載についての研究など、プロジェクトの継続と発展に向けた取り組みを続けています。

CME(二酸化炭素連続測定装置)
拡大
CME(二酸化炭素連続測定装置)
ASE(自動大気サンプリング装置)
拡大
ASE(自動大気サンプリング装置)
ASEの搭載前整備
拡大
ASEの搭載前整備

観測結果は貴重なデータとして世界で活用

ASEは、あらかじめプログラミングした12地点の大気を自動で収集して地上に持ち帰ることができ、国立環境研究所で、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、六フッ化硫黄、一酸化炭素、水素の濃度を分析しています。これらの観測データは1993年から始めた旧ASE観測を含めると、南北両半球の温室効果ガスの緯度分布について、長期間にわたる継続した観測として世界最長の記録です。又、CMEは航空機の上昇中、巡航中、降下中に二酸化炭素濃度を連続して高精度で測定・記録することができます。

このような温室効果ガスの濃度を、地球規模で高頻度に測定し、データを蓄積するプロジェクトは世界でも初めての試みです。長年の観測による貴重なデータは、現在、国立環境研究所を通じて世界中の研究者に提供されており、そのデータを活用した研究成果は数多くの学術論文や学会発表の形で全世界に発信されています。

今後も、安定的な観測をバックアップすることを通じて、地球温暖化研究に貢献し続けていきます。

関連ニュース(研究成果・受賞暦等)

・2019年3月 CONTRAILプロジェクトが 第1回 日本イノベーション大賞 「環境大臣賞」 受賞

・2017年12月 CONTRAILプロジェクトが地球温暖化防止活動環境大臣賞「国際貢献部門」受賞

・2016年12月 CONTRAILプロジェクトから明らかになった研究成果を発表

・2015年5月 「CONTRAIL」が地球環境大賞において特別賞を受賞

・2014年11月 大気観測プロジェクトが、ボーイングのecoDemonstrator787 フライトテストに参加

・2013年10月 大気観測プロジェクトCONTRAILが日韓国際環境書賞を受賞

・2013年6月 大気観測プロジェクトCONTRAILが環境賞において優秀賞・環境大臣賞を受賞

・2012年7月 航空機による大気観測プロジェクト特別塗装機のフライト開始

・2007年6月 新大気観測装置の開発を担当した弊社後藤啓太が航空技術協会会長賞を受賞

 関連サイト

>国⽴環境研究所 CONTRAILプロジェクトのウェブサイト(英語)

>JAL CONTRAILプロジェクト紹介ページ