代表取締役社長CEO 恒松 孝一
株主・投資家の皆さまにおかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2024年3月期、航空輸送業界では、新型コロナウイルス感染症の鎮静化により旅客需要が回復し、エアラインでは大口の機体発注などの動きが見られ、これを受けて航空機メーカーは機体の増産に取り組んでいます。一方で、機材の運航や空港施設、加えて機体製造に係わるサプライチェーン全体においては人材不足となり、人材確保が急務となっています。
当社グループでは、2030年におけるジャムコグループのあるべき姿、進むべき方向性を明文化したJAMCO Vision 2030を実現するための三本柱として、JX:ジャムコ・トランスフォーメーション(業務改革)、SX:サステナビリティ・トランスフォーメーション、HRX:ヒューマンリソース・トランスフォーメーションのタスクチームを設置して、当社業務の基礎課題を解決すべく推進体制の強化を行いました。
航空機内装品等製造関連においては、航空旅客需要の回復に伴い、航空機メーカーの増産やエアラインのスペアパーツ需要の増加に対応すべく、増産体制強化に取り組みました。又、製造工程においては、グループ全体の経営資源の有効活用、効率化・合理化による経営基盤の強化を図るため、国内子会社の統合を決定すると共に、ジャムコフィリピンの生産能力・機能拡張計画や国内外のサプライチェーンの強靭化に取り組みました。
航空機シート等製造関連においては、航空機メーカーによる新造機の増産計画やエアラインが運航している既存機の機内改修需要が急拡大していることから、「選択と集中」により、航空機シートセグメントに含まれる航空機シート事業の開発を伴う受注を一時的に凍結し、開発人員と生産キャパシティを当社の主力である航空機内装品事業に集約することとしました。
航空機器等製造関連においては、生産性改善の取組みを行うと共に、熱可塑性CFRPを活用した航空機用軽量機体部材の開発や熱硬化性CFRP部材の航空機分野以外への展開を進めました。
航空機整備等関連においては、飛行安全の確保と品質向上の取組みを継続すると共に、エアライン、官公庁向け整備の受注に努め、安定した収益を上げるため事業基盤の強化に取り組みました。更に、無人航空機(ドローン)に対する運用サポートなどの新規事業分野への取組みも開始しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高63,999百万円(前期比16,773百万円増)、営業利益2,383百万円(前期比649百万円増)と増収増益でしたが、経常利益においては、為替差益の減少や金利負担増加などにより999百万円(前期比127百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,710百万円(前期比463百万円減)となりました。
なお、当連結会計年度末に次期以降の完成工事に対する工事損失引当金を5,209百万円計上しております。この工事損失引当金による期間損益への影響は、当第4四半期連結会計期間において売上原価900百万円の増加(第3四半期連結会計期間末の工事損失引当金は4,308百万円)、又、当連結会計年度においては売上原価929百万円の増加(前連結会計年度末の工事損失引当金は4,280百万円)となりました。