業績レビュー(2023年3月期)

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)拡大の影響から正常化に向けて回復の動きがみられたものの、ウクライナ問題の長期化による原油価格の高騰、原材料価格の上昇など、世界的なインフレによる景気後退局面への懸念などにより、依然として不透明な状況が続きました。このようななかで、ドル円為替相場は対米ドル円レート122円台から150円台で推移しました。

 

航空輸送業界では、国内線需要の回復に加え、各国の入国制限の撤廃などにより国際線需要についても回復してきていることから、エアラインでは運休していた機体をサービスに戻す動きや大口の機体発注などの動きが見られました。又、航空機メーカーにおいても航空旅客需要の回復に伴い機体の増産に取り組んでいます。

 

このように、航空旅客需要の回復がみられるなかで、当社グループでは、需要回復に対応すべく、グループ外出向していた社員を帰任させると共に、新卒採用活動を開始しました。又、製造工程においては、今後の更なる需要回復に備え、業務効率改善活動を継続すると共に、ジャムコフィリピンの生産能力・機能拡張計画や国内外のサプライチェーンの強靭化に着手しました。更に、サステナビリティへの対応にも積極的に取り組みました。

 

航空機内装品等製造関連においては、航空旅客需要の回復に伴い、保有機体を活用するためのメンテナンス部品や客室改修の需要増加がみられ、これらに対応すべく、生産体制強化に取り組みました。又、お客様が航空機に搭乗する際に抱く不安を少しでも解消できるように、清潔で衛生的なキャビン作りのための製品開発を行い、ギャレー、ラバトリー、シート等への展開を見据えた研究・提案を行いました。

 

航空機シート等製造関連においては、収益力の高いビジネスクラス・シート「Venture」の他機種展開などに加え、次期ビジネスクラス・シート「Quest for Elegance」の開発にも取り組みました。


航空機器等製造関連においては、生産性改善の取組みを行うと共に、熱可塑CFRPを活用した航空機用軽量機体部材の開発やCFRP部材の航空機分野以外への展開を進めました。


航空機整備等関連においては、飛行安全の確保と品質向上の取組みを継続すると共に、エアライン、官公庁向け整備の受注に努め、安定した収益を上げるため事業基盤の強化に取り組みました。

 

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高47,225百万円(前期比8,146百万円増)、営業利益1,733百万円(前期は、営業損失3,174百万円)、経常利益1,127百万円(前期は、経常損失3,512百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益2,174百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失4,081百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末に次期以降の完成工事に対する工事損失引当金を4,280百万円計上しております。この工事損失引当金による期間損益への影響は、当第4四半期連結会計期間において売上原価134百万円の減少(第3四半期連結会計期間末の工事損失引当金は4,414百万円)、又、当連結会計年度においては売上原価451百万円の増加(前連結会計年度末の工事損失引当金は3,828百万円)となりました。

 

グループ全体の販売費及び一般管理費、営業外損益、特別損益、法人税等調整額の状況は次のとおりです。

販売費及び一般管理費は、試験研究費などの減少がありましたが、販売手数料や人件費の増加などにより8,339百万円(前期比805百万円増)となりました。
営業外損益は、為替相場が前連結会計年度末よりも円安で推移し為替差益が増加しましたが、米国ドル金利の上昇などにより支払利息が増加したことなどにより606百万円の損(前期は、337百万円の損)となりました。
特別損益は、連結子会社であるJAMCO SINGAPORE PTE LTD. が保有する固定資産の売却による譲渡益として463百万円を計上したことなどにより、467百万円の益(前期は、530百万円の益)となりました。
法人税等調整額は、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産の計上により△1,186百万円(前期は、1,070百万円)となりました。

(単位:百万円)

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に

帰属する当期純利益

通 期

47,225

1,733

1,127

2,174