快適で持続可能な社会への貢献を目指して
ジャムコグループは2022 年度にマテリアリティを特定し、事業活動を通じてその解決に取り組んでいます。また、グループの事業活動の根幹となる研究開発についても、継続して充実を図っています。これらはJAMCO Vision 2030 にて掲げる「価値創造企業グループ」の実現を目的としたものであり、かつグループが創業以来提供してきた「快適移動空間」「価値ある環境性能」「安全運航環境」の3 つの価値を今後も継続して最大化するための取組みでもあります。
今後さらに3 つの価値の最大化を目指してサステナビリティ活動・事業活動を推進し、「価値創造企業グループ」として持続可能な社会づくりに貢献し続けることを目指します。
マテリアリティは、当社グループが目指す将来の社会像に向けて、JAMCO Vision 2030およびアクションプラン(行動計画AP2030)との整合性をもって特定しました。
JAMCO Vision 2030の実現に寄与すべく、マテリアリティの目標およびKPIは、経営計画とも連動させた設定としています。
ジャムコグループでは下記の3つのステップを経て、さまざまなサステナビリティ課題のなかからマテリアリティの特定を行ないました。
・国際ガイドライン(GRIスタンダード、SASB)やSDGs、ESG評価機関の評価項目などをベースに自社の事業活動での課題やお客様およびサプライチェーンパートナーとの取組み課題を整理し、候補となる課題を抽出しました
・「STEP1」で抽出・整理した課題について、ステークホルダーおよび自社の視点で評価しました
⁃ ステークホルダーからの視点では日々の事業活動における対話を重視して評価しました
⁃ 自社の視点では、目指すべきビジョンとそれを実現するために重要な課題を重視して評価しました
・「 STEP2」で実施した評価結果に基づき、事業部門と本社部門で構成されたワーキング・グループや、専門家との検討を通じて案を作成し、サステナビリティ推進ボードでの協議を経て決定、取締役会へ報告しました
価値創造に関連するマテリアリティとして、下記7項目を特定しました。

2023年度は、カーボンニュートラル(1)と資源循環(2)について、現状把握・課題抽出を進め、全社共通理解のもと全社目標・方針、事業部での施策等について協議しました。また、生き生きとした職場づくり(5)では人的資本経営として必要な施策、目指す姿、KPIの検討を進めました。
すべての空⾶ぶ移動体を基軸にサービスを提供する
当社の技術イノベーションセンターおよび各事業部技術部門にそれぞれ配置する研究開発グループは、「Innovation Road Map 2050」にて当社が提供する製品やサービスのあるべき姿を策定しています。このロードマップに従って研究開発や技術開発を実施し、それらに携わる人財の教育についても推進しています。

ジャムコグループは、常により良い製品・サービスの提供を追求して改革と変革に挑みながら、人と技術の成長を続け、価値を生み出してきました。ジャムコグループが提供するさまざまな価値は、「快適移動空間」、「価値ある環境性能」、「安全運航環境」の3つに大きく分けることができます。これらは当社独自技術の結集であり、航空機を基軸とした製造・整備を通じてお客さまとの信頼関係を築いてきました。これからも当社は、人と技術をコア・コンピタンスとして新たな価値を提供し続けることで、お客さまとともに持続的成長を果たしていきます。
当社が製造する航空機用の厨房設備(ギャレー)と化粧室(ラバトリー)は、世界のエアラインが運航する中大型の旅客機の多くに搭載されており、その世界シェアはギャレーで約40%、ラバトリーは約50%となっています(当社調べ)。これらギャレー、ラバトリーなどの航空機内装品を構成する部品は、厳しい耐空性基準を満たす必要があります。例えばその主要構造材料であるハニカムパネルでは、炭素繊維やアラミド繊維といった特殊な素材を使用することで、軽量で難燃性を兼ね備えながら、高い強度と耐久性を実現しています。また、乗客用シートでは、安全性のみならずデザイン、素材、座り心地、使いやすさからギャザー(革シートのシワ)の寄せ方に至るまで、搭乗されるお客さまの快適さを追求し、空の旅を満喫していただける製品を提供しています。
製品の設計・開発においては、耐久性や機能性はもとよりバリアフリーや衛生面にも配慮し、機体メーカーやエアラインからの細かいご要望にも柔軟に対応することで、お客さまへの提供価値の最大化に向けた挑戦を続けています。

航空機が飛行するために必要不可欠な耐空証明においては、①強度・構造・性能についての基準、②騒音の基準、③発動機の排出物の基準の3つを満たす必要があります。①は航空機の安全性確保、②と③は環境への適合を目的とした基準であり、耐空性を保証することは、安全の確保だけでなく環境保全にも寄与しています。
ジャムコでは、航空宇宙分野で要求される品質マネジメントシステムJIS Q 9100を取得し、耐空性を保証するための品質管理を徹底しています。
また、航空機に求められる環境性能として、機体の軽量化は燃料消費の低減に寄与し、CO2排出量削減につながります。従来の航空機の主となる原材料はアルミやスチールなどの金属ですが、これらをより軽量かつ同程度の強度・安全性を持つ炭素繊維複合材料(CFRP)に置き換える動きが広がっています。ジャムコはこのCFRPの加工において、ADP(Advanced Pultrusion)製法による連続成型技術を独自で開発しました。1990年代から着実に納入実績を積み重ね、耐空性基準を満たしながら航空機の軽量化を推進することで、価値ある環境性能を実現しています。

1955年の創業以来、航空機の部品製造のみならず整備・改造事業においても、中小型機のメンテナンスセンターとして幅広いお客さまのご要望に応えてきました。近年国内のエアラインにおいては、燃料効率の良いリージョナル機クラスの小型旅客機の需要が増えています。これまで蓄積してきた整備・改造の技術を活かし、小型旅客機の分野でも定期整備や改造などの需要に応じられる体制を整えています。
また、防衛省をはじめ、海上保安庁、航空大学校、警察など官公庁の特殊用途の機体では、機体メーカーとの技術提携や独自の技術力を駆使して重装備や特殊任務のための改造なども実施してきました。国内エアラインの旅客機の車輪は離着陸時の安全を支える重要装備品です。当社の車輪整備事業は、国内最大級のホイールオーバーホールセンターを有し、環境に配慮した最新型の設備を導入し、自動化を図りつつ安全運航に貢献しています。こうした実績を技術のさらなる深化に活かすことで、航空業界の安全と発展に寄与しています。
