創業以来の「技術と人」を原動力に、3つの価値提供へコミット


ジャムコグループは、常により良い製品・サービスの提供を追求して改革と変革に挑みながら、技術と人の成長を続け、価値を生み出してきました。
ジャムコグループが提供するさまざまな価値は、「快適移動空間」、「価値ある環境性能」、「安全運航環境」の3つに大きく分けることができます。これらは当社独自技術の結集であり、航空機を基軸とした製造・整備を通じてお客さまとの信頼関係を築いてきました。これからも当社は、技術と人をコア・コンピタンスとして新たな価値を提供し続けることで、お客さまとともに持続的成長を果たしていきます。

ジャムコが提供する3つの価値

価値1 快適移動空間

「あんしん、快適」を追求した内装品

当社が製造する航空機用の厨房設備(ギャレー)と化粧室(ラバトリー)は、世界のエアラインが運航する中大型の旅客機の多くに搭載されており、その世界シェアはギャレーで約40%、ラバトリーは約50%となっています(当社調べ)。これらギャレー、ラバトリーなどの航空機内装品を構成する部品は、厳しい耐空性基準を満たす必要があります。例えばその主要構造材料であるハニカムパネルでは、炭素繊維やアラミド繊維といった特殊な素材を使用することで、軽量で難燃性を兼ね備えながら、高い強度と耐久性を実現しています。また、乗客用シートでは、安全性のみならずデザイン、素材、座り心地、使いやすさからギャザー(革シートのシワ)の寄せ方に至るまで、搭乗されるお客さまの快適さを追求し、空の旅を満喫していただける製品を提供しています。
製品の設計・開発においては、耐久性や機能性はもとよりバリアフリーや衛生面にも配慮し、機体メーカーやエアラインからの細かいご要望にも柔軟に対応することで、お客さまへの提供価値の最大化に向けた挑戦を続けています。

価値2 価値ある環境性能

品質管理と独自技術で、環境に優しい航空機を実現

航空機が飛行するために必要不可欠な耐空証明においては、①強度・構造・性能についての基準、②騒音の基準、③発動機の排出物の基準の3つを満たす必要があります。①は航空機の安全性確保、②と③は環境への適合を目的とした基準であり、耐空性を保証することは、安全の確保だけでなく環境保全にも寄与しています。
ジャムコでは、航空宇宙分野で要求される品質マネジメントシステムJIS Q 9100を取得し、耐空性を保証するための品質管理を徹底しています。
また、航空機に求められる環境性能として、機体の軽量化は燃料消費の低減に寄与し、CO2排出量削減につながります。従来の航空機の主となる原材料はアルミやスチールなどの金属ですが、これらをより軽量かつ同程度の強度・安全性を持つ炭素繊維複合材料(CFRP)に置き換える動きが広がっています。ジャムコはこのCFRPの加工において、ADP(Advanced Pultrusion)製法による連続成型技術を独自で開発しました。1990年代から着実に納入実績を積み重ね、耐空性基準を満たしながら航空機の軽量化を推進することで、価値ある環境性能を実現しています。

価値3 安全運航環境

国内最大級の整備専門会社

1955年の創業以来、航空機の整備・改造事業において、中小型機のメンテナンスセンターとして幅広いお客さまのご要望に応えてきました。近年国内のエアラインにおいては、燃料効率の良いリージョナル機クラスの小型旅客機の需要が増えています。これまで蓄積してきた整備・改造の技術を活かし、小型旅客機の分野でも定期整備や改造などの需要に応じられる体制を整えています。防衛省をはじめ、海上保安庁、航空大学校、警察など官公庁の特殊用途の機体では、機体メーカーとの技術提携や独自の技術力を駆使して重整備や特殊任務のための改造なども実施してきました。
また、国内エアラインの旅客機の車輪は離着陸時の安全を支える重要装備品です。当社の車輪整備事業は、国内最大級のホイールオーバーホールセンターを有し、環境に配慮した最新型の設備を導入し、自動化と省力化を図り職場環境改善を実現しつつ安全運航に貢献しています。こうした実績を技術のさらなる深化に活かすことで、航空業界の安全と発展に寄与しています。

マテリアリティ(重要課題)

マテリアリティは、当社グループが目指す将来の社会像に向けて、JAMCO Vision 2030との整合性をもって特定しました。
JAMCO Vision 2030 の実現に寄与すべく、マテリアリティの目標およびKPIは、経営計画とも連動させた設定としています。

マテリアリティ特定プロセス

ジャムコグループでは下記の3つのステップを経て、さまざまなサステナビリティ課題のなかからマテリアリティの特定を行ないました。

STEP1 候補となる課題の抽出

  • 国際ガイドライン(GRIスタンダード、SASB)やSDGs、ESG評価機関の評価項目などをベースに自社の事業活動での課題やお客さまおよびサプライチェーンパートナーとの取組み課題を整理し、候補となる課題を抽出しました

STEP2 課題の評価

  • 「STEP1」で抽出・整理した課題について、ステークホルダーおよび自社の視点で評価しました
  • ステークホルダーからの視点では日々の事業活動における対話を重視して評価しました
  • 自社の視点では、目指すべきビジョンとそれを実現するために重要な課題を重視して評価しました

STEP3 マテリアリティの特定

  • 「STEP2」で実施した評価結果に基づき、事業部門と本社部門で構成されたワーキング・グループや、専門家との検討を通じて案を作成し、サステナビリティ推進ボードでの協議を経て決定、取締役会へ報告しました

特定したマテリアリティ

価値創造に関連するマテリアリティとして、下記7項目を特定しました。

マテリアリティへの取組み

2024年度は、カーボンニュートラルへの取組み(1)で主要生産拠点の太陽光発電による再生可能エネルギー生成設備の導入を進めました。株式会社ジャムコエアクラフトインテリアズ宮崎工場の正式運用開始に続き、2025年度は同社本社工場域内のハニカムコア工場、航空機整備事業部の部品整備工場の導入工事に着工しました。
また、生き生きとした職場づくり(5)と組織のレジリエンスの強化(7)において、人権デュー・ディリジェンス・プロジェクトを進め各拠点の関係者への勉強会、海外拠点と主要なサプライチェーンパートナーのサーベイ、社内関係者へのインタビューを行ない、人権リスクアセスメントを実施しました。

研究開発

研究開発の考え方

安全と品質に十分配慮した製品およびサービスを開発、提供し、お客さまとのより良い信頼関係の構築に努めてい ます。ESG(環境・社会・ガバナンス)・SDGs(持続可能な開発目標)に関連した社会課題に対して、サステナビリティ活動とイノベーション活動を通じて解決に挑みます。
JAMCO Vision 2030 で掲げる「価値創造企業グループ」を、“次世代モビリティ市場において「快適移動空間の提
供」、「価値ある環境性能の提供」、「安全運航環境の提供」を行なう企業グループ”と定義し、当社の技術をイノベーションとともに進化させてモノづくりへ落とし込み、価値ある製品やサービスを顧客に提供するための研究開発を推進しています。

研究開発体制

研究開発については、テーマとその段階に応じて基礎研究、応用研究、工業化研究にカテゴリーを分け、基礎技術の探究から実用化に向けた研究開発に区分けして実施しています。
本社に技術イノベーションセンターを配置し、全社の技術的なイノベーション戦略の立案および管理、革新的な技術の基礎または応用研究および開発を行なっています。
技術イノベーションセンターはJAMCO Vision 2030 で示された、「技術と品質を翼に、快適で持続可能な未来へ」という指針を踏まえ、ジャムコの技術をイノベーションによって進化させながら、モノづくりを通じた価値提供サービス企業へ生まれ変わるために、ジャムコグループ全社を対象に、その技術戦略を個別の施策へ具体化し、その活動を推進していきます。

研究開発マネジメント

技術イノベーションセンターは全社の研究開発を統轄し、技術イノベーションセンター長が務める研究開発統括責任者のもと、研究開発の推進業務および産業財産権などの管理業務を行なっています。
技術イノベーションセンターおよび各事業部技術部門に所属する研究開発グループは、「Innovation Road Map 2050」にて当社が提供する製品やサービスのあるべき姿を策定し、これに基づく新製品の研究開発および試作、新技術の研究、開発、採用、新市場の開拓、現有技術の改良・研究の各段階に応じて、基礎研究、応用研究、工業化研究などを実施しています。具体的には基礎研究と応用研究を技術イノベーションセンターが担い、各事業部では製品化に直結する開発としての工業化研究を行なっています。基礎開発から製品開発へと技術イノベーションセンターと事業部が連携して製品化に進める体制を構築しています。
特許または実用新案などの産業財産権は、積極的に取得し、独創技術を追求し、製品へ活用していくことで持続可能な社会への貢献に努めています。

研究開発を支える人財教育

ジャムコはテクロノジー主体となる世の中に対応する製品やサービスを生み出すべく、デジタル人財の確保やイ
ノベーティブな風土への改革を行ない、人財と組織が持つ能力を最大限に発揮することを目指します。
技術人財の育成については、技術イノベーションセンターが全社の技術人財のラーニングセンターとして、技術者の養成、育成、再教育、資格取得・認定支援を体系的に行なう、全社の共通技術教育プログラムの運用・管理を行
ないます。
また、航空機内装品事業部、航空機整備・製造事業部においては、それぞれの事業内容に応じて社内外の教育、セ
ミナーを活用し、知識、知見の向上に努めています。航空機内装品事業部では、製品開発の基礎となる技術教育に
関して、技術員全員の基礎教育(E-learning、対面教育)と、小集団による専門教育を行なっており、航空機整備・製造事業部においては航空機メーカーの各種技術に対するフローダウン教育を行ない知識、経験の共有を行なっています。

社会貢献との関連

当社では、地域の学校との交流や大学などでの教育・学術支援、海外企業との連携による共同研究開発など、未来を担う人財の育成、雇用の創出、技術開発などを通じたイノベーションの創出に向けて、積極的に取り組んでいきます。

Innovation Road Map 2050

当社の技術イノベーションセンターおよび各事業部技術部門にそれぞれ配置する研究開発グループは、「Innovation Road Map 2050」にて当社が提供する製品やサービスのあるべき姿を策定しています。このロードマップに従って研究開発や技術開発を実施し、それらに携わる人財の教育についても推進しています。