ジャムコグループは、環境負荷の低い製品やサービスの提供へ向けた研究開発をはじめ、省エネルギー・省資源など環境保全に務め、環境と経済の両面から持続可能な社会に貢献していきます。
当社では、経営理念およびサステナビリティ基本方針に基づき、環境保全に関する「環境基本理念」および「環境方針」を定め、事業活動を通じて地球環境保全活動に積極的に取り組んでいます。
環境基本理念
人類存続のための地球環境保全は全世界の共通の願いである。
ジャムコグループは、グローバルに活動する企業として、地球環境問題を経営の最重要事項のひとつに位置付け、基本理念を“豊かさと共生できる、地球環境にやさしい企業”として企業活動を行い、地球を守り、広く社会に貢献する。
環境方針
ジャムコは、「環境基本理念」に基づき、次の環境方針に従い地球環境の保全に取り組む。
- すべての事業活動によって生じる環境への影響を的確に把握し、地球環境保全に配慮した活動の継続的改善を図り、環境汚染の未然防止に努める。
- 環境保全に関わる法令、条例及びその他の要求事項を遵守する。
- 事業活動によって環境に与える影響を評価し、著しい環境側面として改善を行う活動項目については環境目標を設定し且つ定期的に見直しを行い、環境保全活動を推進する。
- 事業活動においては、地球温暖化防止対策として省エネルギーへの取組みを積極的に行い、環境負荷の低減に努める。
- 環境方針を全ての役職員及び関係者に周知すると共に環境教育を行い、地球環境保全活動への意識向上を図る。
当社が掲げた環境基本理念と環境方針を実現するため、環境保全活動の推進体制を構築しています。環境保全活動は、ISO14001(環境マネジメントシステム、Environmental Management System:以下EMS)に準じた社内規則などに基づき活動しており、本社、機器製造工場およびジャムコエアロマニュファクチャリングにおいてはISO14001の認証を取得しています。
社長は環境基本理念を定め、それに沿ってサステナビリティ推進担当執行役員がEMS推進委員会委員長として全社の環境保全活動を統括し、マネジメントレビューを行なっています。また、地域ごとに環境保全活動を一体となって行なう拠点を設け、各拠点では、環境委員会などを通じて組織的に活動を推進しています。各拠点は単年度の「環境目標」を設定し、その達成に向けた計画的な活動の推進と内部環境監査によるチェックなどを通じて、継続的な改善に努めています。ISO14001認証取得拠点では、審査登録機関による定期的な審査を通じて適合性評価を受けています。

内部監査・外部審査では、環境保全活動が定められた要求事項に適合し適切に実施されているか、また、その活動が有効に維持されているかなどについて定期的に、必要に応じて随時、確認することによって、是正・改善を図っています。内部環境監査チームは、社内規程で定める資格要件を満たす内部監査員により構成しています。内部環境監査は、監査計画、監査チェックシートに基づいて実施しており、管理手順と運用状況との整合性を確認するなどの実地監査に主眼を置いています。監査結果は監査ごとに報告書にまとめ、不適合事項に対しては是正処置を求めるなど、改善につなげています。なお、内部監査結果は年度ごとにまとめを行ない、マネジメントレビューに反映しています。ISO14001認証取得拠点においては、規格要求事項への適合状況について毎年外部審査を受審し、認証を継続しています。
年度を通じた環境保全活動は、経営層によるマネジメントレビューによって総括され、課題については改善に向けて検討が加えられます。その検討を経て決定された重点実施事項に対して各拠点では、環境目標・実施計画・施策の策定(Plan)、施策の実践(Do)、環境目標の達成状況の確認と活動結果報告(Check)、そしてマネジメントレビュー(Action)へと、PDCAサイクルを回すことで継続的に活動しています。こうした継続的な取組みによって、環境に関するさまざまな動きや変化に対応するとともに、全社で役職員の環境意識を高めています。

事業活動において環境に影響をおよぼす環境側面を抽出し、特に改善を必要とするものや環境関連法令等で特別な管理を必要とするものに関しては、著しい環境側面としてその影響を評価しています。なお、法規制遵守の重要事項である「緊急事態への対応」や「排水」については、自主基準の設定および定期的な確認を行なうなど、管理策を強化しています。
当社グループは、「自然との共生をはかり、豊かな社会づくりに貢献します。」との経営理念のもと、事業を通じて社会に貢献することを経営基本方針に掲げています。持続可能な社会づくりと地球環境を保全するうえで気候変動問題への対応は急務であり、気候変動が当社事業に与えるリスクと機会の分析・評価を踏まえた取組みを推進していきます。
当社は2022年11月、金融安定理事会(FSB)により設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:以下TCFD)」による提言への賛同を表明しました。気候関連課題に関する情報については、TCFDのフレームワークに則して、開示内容の充実に努めています。
なお、気候変動対応の詳細に関しては当社のWEB サイトをご参照ください。

当社の取締役会は、経営方針や経営計画等の経営の重要な意思決定・監督を通じて、気候関連リスク・機会への対応など気候関連課題を含むサステナビリティ活動に係る重要な方針や課題対応、人員計画や設備投資などのリソース配分の決定等に関与しています。
また当社ではサステナビリティ推進ボード(Sustainability Promotion Board:以下SPB)を設置し、気候変動問題を含むサステナビリティ活動全体を推進するとともに、その活動の状況等については適宜、取締役会へ報告しています。
当社は、経営環境の変化に伴って迅速かつ的確に対処できるリスクマネジメント能力とリスク対応の優劣が、企業の存続や企業価値の評価に直結してくるものと認識しています。リスクについては、サステナビリティ推進部が、世界各国の気候変動への取組み動向、ステークホルダーからの要請などさまざまな環境に関するデータを把握しつつ、気候関連リスクの識別、評価を行なっています。機会に関しては、ワーキング・グループや関係部門と連携し、新たな価値創造に向けた、新規事業やビジネスにつなげるべく取り組んでいます。
気候変動が当社および当社事業におよぼすリスクの抽出については、シナリオ分析(4℃シナリオ、1.5℃シナリオ)に基づいてリスクを認識しました。このうち長期リスクに備えるための戦略を検討するにあたっては、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告による地球温暖化シナリオや国際エネルギー機関(IEA)の世界エネルギー見通し等を参考にインパクト分析を行ないました。
さらに各シナリオが航空業界に与える影響を検証し、4℃と1.5℃シナリオで想定する社会像を作成し、リスクと機会の分析を実施しました。
航空業界は、業界全体で2050年カーボンニュートラルに向けての動きが加速しています。ジャムコグループは業界の一員として4℃と1.5℃シナリオに基づき、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減に向けた活動を今後さらに推進するとともに、新たな取組みも進めていく必要があると認識しています。
当社の主力製品である航空機内装品等の軽量化などによる運航の燃料効率改善への貢献が求められており、その対応の可否が今後の受注や取引に影響するリスクがありますが、同時に機会でもあります。
今後、当社が製造・販売する低炭素および強度の高い軽量化製品の開発が進むことで、メインターゲットの広胴機のみならず、市場規模拡大が見込まれる狭胴機においても当社の強みを活かした提案が可能となり、売上高の増加につながる機会になると考えています。
JAMCO Vision 2030のもと、事業活動を通じて環境・社会課題を解決するために取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、施策の実行と非財務KPIの運用を通じて進捗管理を行なっています。
カーボンニュートラルへの貢献を目標に、CFRP加工技術、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトとの次世代軽量カーボンハニカムパネルの研究開発の推進、製品リサイクルの推進、リサイクル材料の積極的活用などの取組みを行なっており、これらの活動を通じて製品の脱炭素化に貢献できるよう研究開発を進めていきます。
航空機による大気観測「CONTRAIL プロジェクト※」では、ジャムコが開発に携わった大気観測装置が使用されています。航空機上で温室効果ガスの観測を行なっており、その解析結果は地球温暖化研究のための貴重なデータとして、世界中に配信されています。
※ 環境省委託事業による補助を受けています



ジャムコグループは、2023 年度(2023 年4 月~ 2024 年3 月末)の温室効果ガス(GHG)排出量データ(Scope1、2)について、国際的な基準であるISO14064-3:2019 に準拠した第三者検証を実施し、その検証機関であるソコテック・サーティフィケーション・ジャパンによる保証報告書(限定的保証水準)を取得しました。
本報告で集計している温室効果ガスの種類は、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六ふっ化硫黄、三ふっ化窒素です。
国内の温室効果ガス排出量(非エネルギー起原を含む)は、地球温暖化対策推進法に規定された熱量換算係数および炭素排出係数を用いて算出しています。
国内における購入電力の使用に伴う温室効果ガス排出量は、地球温暖化対策推進法に規定された電気事業者ごとの排出係数を用いて算出しています。
2023 年度はScope3 排出量の算定に取り組み、一部の海外拠点を除く暫定的な排出量を算定しました。
今後、算定手順を確立して精度向上を図るとともに算定範囲の拡大を進める予定です。
日本政府は2050 年カーボンニュートラルと整合する目標として、2030 年度に温室効果ガスを2013 年度比で46%削減を目指すこと、さらに50%削減の高みに向け挑戦を続けることを表明しています。これを受けて当社では、2050 年カーボンニュートラル、2030 年についてはScope1 とScope2 の合計で、2020 年3 月期比50%以上の削減目標を設定しました。

当社は非営利組織CDP による企業の取組み状況分析に、気候変動・水セキュリティの分野で回答しています。
当社は航空機分野に特化し、航空機内装品および機器の製造・修理、航空機ならびに航空機装備品の整備・改造等の事業を行なっています。下図は、当社の事業活動におけるエネルギーと資源の投入量(インプット)と、活動に伴って発生した製品および環境負荷物質(アウトプット)の全体像をマテリアルバランスとして表したものです。当社では事業を通じて多くの資源を消費し、さまざまなものを排出しており、インプット・アウトプット両面における環境負荷を低減するため、その定量的な把握に努めています。
地球環境問題への取組みの重要性がますます高まるなか、さらなる環境負荷の低減に努めていきます。
- 拡大
- マテリアルバランス
当社では、生産設備および空気調和設備(エアコン)・照明機器・空気圧縮機のインバーター化などによる省エネルギー化、生産プロセスの効率化、燃料使用量の効率化などを進めており、エネルギー使用量の削減に努めています。
2023年度において各拠点では、空気調和設備(エアコン)の効率的な運転と共に、より高効率な設備の導入や更新を進めました。また、照明設備については、LED照明設備への入替えなどを行ない、エネルギー使用量の削減に取り組みました。
当社では、事業活動にて使用する水の使用量削減に向け、節水の徹底に努めています。
当社では、廃棄物の削減、再資源化に取り組んでいます。
材質別の分別回収を徹底して金属類および紙類(コピー用紙、段ボール、新聞紙など)の有価物化、再資源化(リサイクル)を促進し、廃棄物の削減に取り組んでいます。
廃棄物処理委託先との調査、協議により、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルなどの再資源化品目の増加に取り組んでいます。
当社は、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の考えを基本に、廃棄物の削減に取り組んでいます。
また、廃棄物処理の委託先に対して、定期的に現地調査や情報収集を行ない、処理工程の把握、マニフェスト等の記録管理および許可更新など、廃棄物の処理が適正に行なわれていることを確認しています。
・省エネルギーの取組み
・水資源の取組み
・廃棄物削減の取組み
については、各使用量/排出量の削減実績をデータ集にて公開しております。
-
環境関連データ(データ集) (373KB)
事業活動で使用する化学物質は、性状や危険性および有害性などに応じて法令等で規制されており、特に有害性の強い物質については、社内規程に管理手順を定め、物質の漏洩や紛失のないよう適切に管理しています。また、実際に化学物質を取り扱う作業者は、必要な資格を保有し、管理手順に基づき適切に作業を行なっています。
当社は、あらゆる企業活動における環境配慮と、生産・販売する製品のライフサイクルにおける環境への負荷低減に継続して取り組むため、環境への負荷の少ない部材や部品を優先的に調達するためのグリーン調達を推進しています。
当社では、フロン排出抑制法※に基づいて、フロン類を適正に管理しています。
エアコン、冷蔵・冷凍庫などに使用されるフロン類には、地球温暖化の原因となる物質が含まれており、これらの機器については台帳を整備し、定期点検を実施しています。
また、当社では「第一種フロン類充填回収業者」の登録を受け、航空機へ搭載する冷凍冷蔵機器・エアーコンディショナーなどの装備品に関して、フロン類を充填および回収する業務を実施しています。
※ フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律
生物多様性保全活動においては、地域に根差した自然環境保全活動に参画しています。